インド最高裁のガイドツアーに参加してきた│予約から当日の流れ、スマホ全預けで見た法廷・図書館・博物館
ニューデリー(New Delhi)にあるインド最高裁判所(Supreme Court of India)は、土曜日に一般向けのガイドツアーを実施しています。事前予約制で、参加費は無料。法廷、図書館、司法の博物館まで案内してもらえる、かなり本格的な見学コースでした。
参加してみて一番驚いたのは、その厳重さです。スマートフォンは入口で全員が預け、博物館に入るときには荷物までロッカーに入れます。ツアー中の写真は1枚も撮れません。だからこそ、これから行く人のために、予約から当日の動きまでを写真とあわせて記録しておきます。

最高裁の正面階段で、参加者全員そろって撮影してもらえます。
(写っている方の顔はぼかしています)
場所│ニューデリーの官庁街、ティラク・マーグ(Tilak Marg)沿い
インド最高裁判所は、インド門(India Gate)から北へ1kmほど、ティラク・マーグ(Tilak Marg)沿いにあります。デリーメトロ(Delhi Metro)のブルーライン「Supreme Court」駅(旧プラガティ・マイダン駅/Pragati Maidan)が最寄りですが、荷物を持って歩き回りたくない場所なので、タクシーで正門まで乗りつけるのが無難です。
予約│土曜日の午前2枠、参加費は無料
ガイドツアーは、原則として毎週土曜日(祝日を除く)の午前10時と午前11時30分の2枠で実施されています。参加費はかかりません。1回あたりの定員は40人ほどで、予約が5人に満たない日は催行されないことがあります。
予約は最高裁の公式サイトのトップページからリンクされている Guided Tour のページで、氏名・身分証の情報などを入力するだけです。数分で終わります。当日は、予約したことを示す情報と、写真付きの身分証明書が必要になります。私はパスポートを持っていきました。
私が申し込んだのは11時30分の回でした。午前中に時間が空いたので、先にインド門まで行って時間をつぶしています。

土曜の午前でも人は多めでした

ここから最高裁までは車で10分ほどです
当日の流れ①│荷物検査を抜けて、受付にたどり着くまで
タクシーで最高裁に着くと、まず入口で荷物検査があります。空港のような機械に荷物を通し、その先の敷地内に入ります。
ここで少し迷いました。敷地に入ってまっすぐ歩いていくと、一般の見学者は通れないゲートに突き当たります。ツアーの受付はその手前で、突き当たりを右に曲がると、すぐ左手にあります。「e-Sewa Kendra & Facilitation Centre」と書かれたガラス張りの建物です。

突き当たりを右、すぐ左手にあります
中はいくつかの窓口が並んでいて、訴訟関係者と見学者が同じフロアで手続きをしています。窓口で予約していることを伝え、パスポートを見せると、受付をしてもらえました。あとは呼ばれるまでこの場で待ちます。
当日の流れ②│スマートフォンは全員が預ける

右奥に「MOBILE PHONE」と書かれた窓口があり、ここでスマートフォンを預けます
受付と同時に、スマートフォンを預けます。これは希望者だけではなく、参加者全員が対象です。窓口に「MOBILE PHONE」という専用のカウンターがあり、そこで預けて引換えを受けます。一度預けたら、ツアーが終わるまで戻ってきません。
録音や撮影をさせないための措置だと思われます。実際、公式にもガイドツアー中の撮影は認められていません。そのぶん、ツアー中の様子を自分で写真に残すことはできませんでした。この記事に建物内部の写真がないのはそのためです。
代わりに、後述する記念写真が公式に撮影され、その日のうちに参加者へ配られます。
当日の流れ③│参加者は20人弱。ほぼ全員がインドの人
時間になると名前を呼ばれ、参加者がまとめられます。この回は20人弱でした。小学生から中学生くらいの子どもも何人かいて、家族連れも混じっています。
参加者はほぼ全員がインドの方で、案内も会話もヒンディー語(Hindi)が中心でした。ロースクールの学生もいましたが、法律関係者ばかりではなく、エンジニアなど法律とは関係のない仕事の人も参加しています。市民に司法を開く、という趣旨のツアーなのだと実感しました。
日本人は私ひとりだったこともあり、待っている間から何人にも話しかけられました。ヒンディー語がわからないと言うと、英語で説明を補ってくれる人が何人も出てきます。
ツアー①│ガンディー像と記念碑、そして正面階段での記念写真
ツアーはまず、先ほど通れなかったゲートの内側から始まります。敷地の中にあるマハトマ・ガンディー(Mahatma Gandhi)の像や記念碑を見せてもらいながら、建物の歴史や配置の説明を受けました。
そのあと、最高裁の建物を背にして全員で記念撮影です。中央のドームと国旗が入る、いちばん絵になる位置で撮ってもらえます。この写真は、その日の夕方に参加者へ送られてきました。
ツアー②│建物の中へ。カフェ、そして実際の法廷
記念写真のあとは、いよいよ建物の中に入ります。
途中で立ち寄ったのが、敷地内にあるカフェです。障がいのある方が働いているカフェだと説明を受け、働いている方たちと挨拶を交わしました。裁判所に来る人が一日そこで過ごすことを前提にした設備が、当たり前のようにそろっているのが印象的でした。
そして、実際に審理で使われている法廷も見せてもらえました。傍聴席から法廷を眺めるのではなく、法廷そのものに入って構造の説明を受けられるのは、平日ではまず経験できないことです。
ツアー③│圧巻だったのは、吹き抜け5層の図書館
このツアーで一番印象に残ったのは、別館にある裁判官用の大きな図書館でした。
吹き抜けで5層ほどあり、とにかく広い。何万冊という蔵書があると説明されました。壁面にはインド憲法(Constitution of India)の前文が掲げられていて、書架に囲まれた空間の真ん中にそれが据えられている光景には、素直に圧倒されました。法を扱う建物なのだ、ということが空気で伝わってきます。
この図書館は普段は立ち入りが制限されている場所で、ガイドツアーの参加者だけが中を見られます。ここだけでも参加する価値があると思いました。
ツアー④│博物館は、荷物も全部ロッカーへ
最後に案内されたのが、司法の歴史を扱う博物館(National Judicial Museum & Archives、NJMA)です。
ここが一番厳重でした。スマートフォンはすでに預けているのに、それに加えて荷物もすべてロッカーに入れるよう求められます。結局、手ぶらで入館することになりました。中はインドの司法の歩みを時代順にたどる、ごく普通の歴史展示です。正直なところ、何がそこまで機密なのかは最後までわかりませんでした。
この博物館で、ロースクールの学生が、展示の内容をずっと英語で説明してくれました。ヒンディー語の説明を聞き取れない私にとっては、ここが一番助かった場面です。最後にはなぜか、最高裁の記念品のカップとペーパーウェイトを、学生2人からもらってしまいました。インド人のおもてなしの気持ちを改めて感じました。

National Judicial Museum & Archives と最高裁の建物が入っています

「NJMA/SUPREME COURT OF INDIA」の文字が入っています
ツアーのあと│知り合った2人とインド料理を食べに
博物館を出たところで解散です。所要時間は11時30分から13時ごろまでの約1時間半でした。
解散後、ツアーで知り合った2人と一緒に昼食に行くことになりました。最初は敷地内の食堂で食べるつもりで、「CAFETERIA FOR LITIGANTS(訴訟当事者向け食堂)」まで行ってみたのですが、食べたいものがないという話になり、結局は外の店へ移動しています。

訴訟当事者や関係者が日常的に使っています

ここで食べるつもりでしたが、結局は入りませんでした
向かったのは、最高裁から車で10分ほどのパンダラ・ロード・マーケット(Pandara Road Market)にある老舗のインド料理店、グラティ(Gulati)です。

創業67年と書かれています
インド料理の食べ方や、どの料理がどの地方のものかを教えてもらいながらの食事でした。インドの司法制度についての話も出て、法律の話を現地の人と現地でするという、ツアー本体とは別の収穫がありました。食事が終わったところで、その日は解散しています。

(写っている方の顔はぼかしています)
まとめ│司法を「見せる」ことにここまで手をかけている
インド最高裁のガイドツアーは、2018年に一般向けに始まった取り組みだそうです。無料で、土曜日に、法廷と図書館と博物館まで開けて、記念写真まで撮って送ってくれる。運営にかかる手間を考えると、司法を市民に開くという方針にかなり本気で予算と人を割いているのだとわかります。
一方で、スマートフォンも荷物も預けさせる徹底ぶりは、その裏返しでもあります。開くところは開き、締めるところは締める。そのメリハリが、この1時間半でいちばん記憶に残りました。
デリー(Delhi)で土曜日が空いているなら、法律に関わる仕事をしていなくても、行く価値のある場所だと思います。
デリー滞在中のほかの記録は、グルガオン(Gurgaon)のホテル滞在記、デリーのインド料理店3選、カーン・マーケット(Khan Market)での買い物とカフェ巡りにまとめています。
※本記事は2026年8月時点の情報に基づいています。実施日・時間・予約方法は変更されることがあるため、最新情報は最高裁の公式サイト等でご確認ください。写真に写っている方の顔にはぼかし処理をしています。

