チャイナタウンで食べたもの│天天の海南鶏飯、東興のエッグタルト、小龍坎の四川火鍋
※本記事は2026年9月時点の情報に基づいています。営業時間・価格・街の様子は変わる場合があります。最新情報は各公式サイト等でご確認ください。
シンガポールに来て最初にチャイナタウン(Chinatown)へ行ったとき、正直なところ、あまりいいとは思えませんでした。理由ははっきりしていて、日本の外食と比べたときの清潔感でした。ホーカーセンター(hawker centre)はむき出しの厨房が並び、テーブルは共用で、床も屋外とつながっています。日本の飲食店の基準が体に染みついていると、味より先にそこが気になってしまいます。
それから1年。あらためて何度か足を運びました。昼はマックスウェル・フードセンター(Maxwell Food Centre)の海南鶏飯(Hainanese Chicken Rice)、夜はスミス・ストリート(Smith Street)の四川火鍋(Sichuan hotpot)、そして締めに東興(Tong Heng)のエッグタルト。この記事では、チャイナタウンで食べたものを写真で紹介します。
まずは地図から│マックスウェル駅を出ると、目の前がホーカー

改札を出て地上に上がると、もうホーカーが見えています。
チャイナタウンには入口が2つあります。ひとつはMRT北東線・ダウンタウン線のチャイナタウン駅(Chinatown、NE4/DT19)。パゴダ・ストリート(Pagoda Street)の土産物街に直結していて、観光の入口はたいていこちらです。
もうひとつが、MRTトムソン・イーストコースト線(Thomson-East Coast Line)のマックスウェル駅(Maxwell、TE18)です。こちらは比較的新しい駅で、地上に出るとすぐ目の前がマックスウェル・フードセンターです。ごはんが目的なら、迷わずこちらから出るのが早いです。2駅は歩いて5分ほどしか離れていないので、昼はマックスウェル、夜はチャイナタウン駅側、という回り方ができます。

建物じたいは戦前の市場を引き継いだもので、天井が高く風が通ります。

屋台はここから奥へずっと続きます。
冷房はないけれど、風は通る

この建物の顔になっています。
中に入ると、天井が高く、オレンジ色の鉄骨がむき出しになっています。冷房はありません。その代わり天井の扇風機がずっと回っていて、風が通る構造です。1年前の私は、この「冷房がない」という一点で身構えてしまっていたのだと思います。
平日13時、天天海南鶏飯の行列は10分強

目当ては天天海南鶏飯(Tian Tian Hainanese Chicken Rice)です。場内の#01-10と#01-11、2区画にまたがった青い看板がすぐ目に入ります。看板には「Since 1986」とあり、ミシュランのビブグルマン(Bib Gourmand)のステッカーも貼られています。鶏飯はそれだけで食べても十分だ、という趣旨のアンソニー・ボーデインの言葉まで掲げてあって、要するに、この店は自分がなぜ有名なのかをよく理解しています。

びっしり貼られていて、遠くからでもすぐわかります。
行った日は平日の13時でした。ランチのピークはとうに始まっている時間ですが、並んだのは10分強。土日や観光シーズンの話を聞くと1時間近く待つこともあるようなので、平日の昼過ぎはかなり当たりの時間帯だと思います。

通路をふさがないように、と足あとつきで書かれています。
並び方には決まりがあります。(A)が注文と支払いのカウンター、(B)が受け取りのカウンターで、列は1本。通路をふさがないように、と看板にも足あとの絵つきで書いてあります。

ここで払って、隣の(B)で料理を受け取る流れです。

値段はこのとおりです(すべてGST込み)。
| メニュー | 価格 |
|---|---|
| チキンライス(S)※ロースト限定 | S$5.00 |
| チキンライス(M)蒸し/ロースト | S$6.00 |
| チキンライス(L)蒸し/ロースト/合いがけ | S$9.00 |
| ハーフチキン(2〜3人前) | S$17.00 |
| ホールチキン(4〜6人前) | S$32.00 |
| 煮玉子(1個) | S$1.00 |
1人ならMのS$6.00で十分です。日本円にすると700円前後で、ミシュラン掲載店の看板料理がこの値段というのは、やはりホーカーならではだと思います。

これを(B)のカウンターで見せて受け取ります。
ダークソースを頼んだら、追加料金なしでかけてくれた
受け取りのときに、ダークソース(黒醤)をくださいと頼んでみました。天天では追加の調味料は1つにつきS$0.30と掲示されているのですが、このときは料金を取られず、そのままかけてくれました。運用は店や場面によるのだと思いますが、遠慮して言わないでいるより、頼んでみるほうがいいです。
骨がないから、最後まで食べやすい

鶏にはダークソースをかけてもらっています。
海南鶏飯は、店によってぶつ切りで骨が入ったまま出てくることが少なくありません。味は良くても、骨をよけながら食べることになるので、慣れていないと食べづらい。その点、天天は骨を外した状態でスライスして出してくれるので、最初から最後まで手が止まりません。

ぱさついたところがまったくありません。
肝心の味です。鶏はしっとりしていて、噛むとほんのり鶏の味が出てきます。強い味付けで押してくるタイプではなく、鶏の脂で炊いたごはんとダークソースがそれを支える、という組み立てです。1年前はホーカーそのものに気後れして味どころではなかったのですが、今回はあらためて、素直においしいと思いました。
ついてくるチリソースも良かったです。シンガポールのチリソースは辛さが立ちすぎて手が止まってしまうこともあるのですが、天天のものはジンジャー(生姜)が効いていて、ピリッとしたあとにうまみが残ります。辛いというより、まろやかです。

人がひっきりなしに通ります。
京華小吃の焼き餃子と炒飯│おしぼりが有料だった
もう1軒。シンガポールに着いて2〜3日目、まだ何もわかっていなかったころに入ったのが、チャイナタウンの京華小吃(Jing Hua Xiao Chi)です。

皮がしっかり厚めのタイプです。
焼き餃子はとてもジューシーで、噛むと汁が出てきます。これは素直においしかった。ただ、会計は思っていたよりも高くつきました。

餃子と一緒に頼むとちょうどいい量です。
そしてもうひとつ、これは完全に自分の不注意なのですが、テーブルに置かれていたおしぼりが有料だと気づかないまま使ってしまいました。会計を見て、はじめて気づきました。中華系のレストランでは、おしぼりやお茶、ときにはピーナッツの小皿まで有料のことがあります。要らないなら手をつけない、が正解です。
夜のスミス・ストリートで四川火鍋│小龍坎のタレは自分で配合する

ガラス屋根がかかっているので、雨でも歩けます。
夜は場所を変えて、チャイナタウン駅側のスミス・ストリートへ。かつて「チャイナタウン・フードストリート(Chinatown Food Street)」と呼ばれ、通り全体にガラス屋根がかけられた一角です。両側にショップハウス(shophouse)が並び、火鍋やドリアンチキンの看板が競うように光っています。

龍のレリーフと提灯で、通りからでもすぐわかります。
入ったのは、その通りの20番地にある小龍坎(Shoo Loong Kan)です。四川発の火鍋チェーンで、入口に大きな龍のレリーフと提灯が並んでいます。

配合の比率つきで貼ってあります。
この店で面白かったのが、タレを自分で作るセルフサービスのタレバーです。壁に4種類のレシピが、配合の比率つきで貼ってあります。
ただ、今回はそれには従わず、酢を軸にした自分のタレにしました。台湾人の同僚に教わった配合で、酢と醤油を土台にして油分を控えるので、火鍋を食べ続けても後味が重くなりません。具体的な比率は、山渝宗天台重庆市井火锅(Tiantai Hotpot)の記事に書きました。

トマトの側に1玉入れたところ。
鍋は仕切りのある鴛鴦鍋にして、麻辣とトマトベースの2種類を頼みました。ひととおり食べたあと、〆は麺です。トマトのスープが煮詰まったところに1玉入れて、スープごと食べきって終わりにしました。
締めは東興のエッグタルト│ひし形はこの店の商標

マックスウェル・フードセンターから歩いて数分です。
最後は甘いものです。サウス・ブリッジ・ロード(South Bridge Road)285番地の東興(Tong Heng)は、マックスウェル・フードセンターから歩いて数分の広東菓子の店で、チキンライスのあとに寄るのにちょうどいい距離にあります。

ひし形のエッグタルトは商標として登録されています。
店頭の案内板によると、正式な創業は1935年。シンガポールでもっとも古い中華菓子店のひとつで、ひし形(diamond-shaped)のエッグタルトを商標登録しています。エッグタルトといえば丸い形を思い浮かべますが、ここのはひし形です。焼き菓子はすべて乳製品を使わずに作られている、とも書いてありました。

真ん中の黄色がつやつやしています。
味は、とろけるおいしさでした。とくに印象に残ったのが、卵本来の味がしっかりすることです。砂糖やバニラの香りで押してくるタイプではなく、口に入れた瞬間に卵の風味がまっすぐ来ます。焼き菓子に乳製品を使っていないという店頭の説明のとおり、余計なものが入っていないのだと思います。生地はさくっと軽く、中身はぷるぷるです。

値段はこのとおりです。
| メニュー | 価格 |
|---|---|
| エッグタルト(鶏蛋撻) | S$2.40 |
| ココナッツ・エッグタルト(椰絲蛋撻) | S$2.60 |
| チャコール・エッグタルト(シーソルト・カヤ入り) | S$3.20 |
| ゴールデンヤム・エッグタルト(金字蛋撻) | S$3.20 |
| 叉焼酥(BBQ Pork Crisp) | S$2.60 |
| 咖喱雞酥(Chicken Curry Crisp) | S$2.60 |

中秋節(Mid-Autumn Festival)の月餅で埋まっています。
行ったのが9月だったので、店の半分は月餅(mooncake)でした。ミニ月餅から、蓮の実あんの「龍鳳礼餅(Dragon Phoenix Pastry)」まで並んでいます。エッグタルトだけを買うつもりで入ると、たいてい寄り道します。

1個ずつくるんで袋に入れてくれます。
営業は毎日9時から19時までです。持ち帰りは1個ずつ紙で包んでくれるので、そのまま手土産にできます。
シンガポールでごはんを食べる場所については、ホーカーセンターのラオパサ(Lau Pa Sat)で食べてきた!シンガポール在住者のおすすめ12店+と、オフィス街の地下フードホールを紹介したラオパサに飽きたら│道1本先の地下フードホール「The Basement」が涼しくて速いにも書いています。
おわりに
1年前にチャイナタウンで身構えてしまったのは、清潔感の基準を日本のまま持ち込んでいたからでした。むき出しの厨房も、共用のテーブルも、この街ではそういうものとして回っています。列は1本、注文と受け取りは別のカウンター、要るものは頼んでみる。その作法が分かってくると、同じ場所がまったく違って見えました。
S$6.00の皿にたどり着くのに要るのは、下調べというより、もう一度行くことなのかもしれません。

